料理のプロフェッショナルにレシピの極意を教わる連載。料理教室を主宰する「料理の先生」による、リクエスト率ナンバーワンの人気レシピを紹介します。おいしさはもちろん、生徒たちに愛される理由が満載のメニューに隠れた秘密を探ります。
春先に体を温める優しい料理
健康志向が高まり続ける昨今、料理には、おいしさはもちろんヘルシーさも求められる時代になりました。また、SNSの台頭によって見栄えの良さも重視される傾向にあります。
そんな時代のニーズにぴったりの料理教室が、料理家の中村まりこさんが主宰する「鎌倉 legame cooking(レガーメクッキング)」。中村さんは料理一家の日本人の父とウクライナ人の母の元で育ち、、世界23カ国に滞在した経験を持つ国際派。祖父の代から日本割烹料理を営んでいたことから、日本の食文化についても造詣が深く、和の食材や技法にさまざまな国のエッセンスを加えたオリジナル料理が得意です。その料理が、見た目も味も新鮮なのに、食べてみると舌になじむとあって評判に。レッスンでは、盛り付けやスタイリングと共に、料理を華やかに演出する方法も伝えています。
今回ご紹介する中村さんの料理教室で人気のメニューは「ビーツのオリエンタルスープ」。ビーツの色を活かした、女性にやさしいスープです。
「ココナッツオイル、ココナッツミルク、しょうがを使うことで、体が芯から温まります。また、“食べる輸血”と異名をとるビーツや、植物性のココナッツミルク、しょうがから体に良い栄養素が摂れると同時に、デトックス効果も期待できるんです。鮮やかなワインレッドのビーツに、ココナッツオイルやココナッツミルクによる南国らしい香りを感じられるスープ。私のもう一つの故郷であるウクライナの料理を代表する『ボルシチ』にビーツは欠かせなく、私にとって小さいころからなじみのある食材を、私らしく紹介するならばと考案したレシピです。野菜をメインにして、マッシュルームでコクとうま味を出し、仕上げのしょうゆで香ばしさを与え、味全体を締める。説明するより、ぜひ味わっておいしさを確かめていただきたい自信作です」
レッスンでは、鮮やかなピンク色とオリエンタルな味わいがたちまち人気となり、「ビーツ好きなので、ビーツを使ったレシピのレパートリーが増えてうれしい」「他では習えないオリジナリティあふれる素材や調味料の組み合わせがステキ!」「簡単に作れて見た目もきれい。しかも体にいいなんてうれしすぎる」「作り置きできるので、栄養バランスが乱れやすい平日に楽しんでいます」といった声が、生徒たちから殺到しているそうです。
この料理の最大のポイントは、ビーツの色。そして、その色をきちんと出すために、あらかじめ加熱調理しておくのがコツだと、中村さんはいいます。
「ビーツの色を活かすことは、栄養を逃さないことにもつながります。変色を防ぐためにあらかじめじっくりと加熱調理することで、ビーツがやわらかくなり、甘味がしっかりと出ます。できれば茹でるよりも、オーブンで加熱するのがおすすめ。調理の工程としては、食材を切る、炒める、煮るだけなので、普段あまり料理をしない人でも失敗なく作れると思いますよ」
寒暖差のある花冷えのシーズンはもちろんのこと、強すぎる冷房が心配な夏、そして秋~冬と、一年中大活躍すること間違いなしのレシピ。見た目の愛らしさから、作る時間も楽しくなりそうです。