人気店のシェフに3つのレシピを教えてもらう連載企画。素材が活きるごちそうレシピ、思い出のレシピ、お店で人気のまかないレシピの3品をご紹介していきます。1月は渋谷にある予約困難な大人の居酒屋『高太郎』の林高太郎さんに、『シンプルで美味しい』をテーマにレシピを提案してもらいました。今回教わるのは、思い出のレシピ「燻玉ポテトサラダ」。高太郎でほぼ全員が頼む名物料理のレシピを余すことなく公開してくれました。
これを目当てに通うお客さんが多いという看板メニューが、「燻玉ポテトサラダ」です。ポテサラの主役となるじゃがいもは2種類使い、具材は玉ねぎときゅうりのみとシンプル。素材の味を引き立たせるため、味付けはごく軽めのマヨネーズ、辛子、牛乳というシンプルな組み合わせにいきついたそうです。これに燻製した半熟卵をのせ、最後に客自身で全体を混ぜ合わせて完成させるという、他では味わえないオリジナリティ溢れるポテトサラダを考案しました。
「なにか名物になるメニューをと思い、2011年の開店前から練りに練って完成させた思い出深いレシピなんです。試行錯誤して、卵はあえて半熟で燻製にしました。さらにゆで卵も、いろいろ試した結果、沸騰後に投入し6分10秒茹でるというスタイルに。とろりとした黄身とケンカしないよう、ポテトサラダのマヨネーズは軽めにさっぱりとした味わいにし、辛子を効かせることでお酒が進む味わいに仕上げました。マスタードを利かせた和風ドレッシングの酸味も、お酒に合いますよ」(高太郎さん)
具材はじゃがいも、玉ねぎ、きゅうりといたって定番のポテサラですが、計算され尽くした高太郎さんらしいアイデアが随所に光ります。
「じゃがいもは、男爵とメークインの2種類を使うのがこだわりで、男爵はホクホクとした食感を、メークインはねっとりした食感を出すためで、両方入れることで食感のバランスがとれるんです。水っぽくならないように、茹でるのではなく蒸すのもポイントですね。玉ねぎも水っぽくならないように、水にさらさず、そのまま使っています。蒸したじゃがいもをつぶして、熱いうちに、玉ねぎときゅうりを入れると、余熱で火が通りしっとりと仕上がります」
半熟燻製卵を作ります。用意するのは、中華鍋(空焚きするので、熱に強い鉄製の中華鍋が最適)、アルミホイル、燻製チップ、網、中華鍋と同じ口径のボウル。まず、中華鍋に大きめに切ったアルミホイルを敷き、燻製チップ40g(さくらを使用)を入れて強火にかけます。アルミホイルを敷かないとチップに引火するので注意!
チップが黒くなって煙がもうもうと立ってくるまで加熱を続けます。換気扇は回しっぱなしにしておきましょう。