人気店のシェフに2つのレシピを教えてもらう連載企画。旬の食材を使ったレシピと、プロの技のレシピをご紹介していきます。8月最後にご登場いただくのは、恵比寿にある一軒家のフレンチレストラン「AMOUR(アムール)」のエグゼクティブシェフ・後藤祐輔さん。今回は、プロの技のレシピ「ホタテパン カリフラワーのクレームとコーヒーのアクセント」を教えていただきました。
ホタテを主役にした、フレンチらしい華やかな一皿の「ホタテパン カリフラワーのクレームとコーヒーのアクセント」。後藤シェフのお店でもファンが多い人気メニューで、10年くらい作り続けているスペシャリテだそう。
「私は魚介が好きで、とくにホタテは大好物なんですが、火入れが難しい食材でもあります。完全に火を入れると身が固くなってあまりおいしくないし、半生にするとしても表面はパサついてしまう・・・。理想とするのは、中だけレアで、表面はカリッと香ばしい食感を楽しめる状態。そこで思いついたのが、ホタテをパンでサンドする方法です。こうすることで、ホタテには間接的に火が入るのでレアな状態に、パンは香ばしくカリカリになって、食感のコントラストが際立つ仕上がりになりました」
魚介の料理にコーヒーフレーバーを加えるという発想が新鮮でした。どういう狙いが込められているのでしょうか?
「レアなホタテは甘さが格別。一緒に添えたカリフラワーのクレームもまろやかな味わいなので、全体の印象がぼやけないように、コーヒーオイルのフレーバーで苦味をプラスして引き締めました。コーヒーの香り高さがまとめ役となり、バターに頼らなくても満足感が高い仕上がりになります。食材は主に白でまとめているので、皿には対照的な黒を選ぶことで、美しさが際立ちますよ」
注意点があれば教えてください。
「とにかく、ホタテの火入れですね。失敗しないようにパンで挟んでいるのでそれほど神経質にならなくてもよいのですが、中がレアになるように仕上げてください。また、カリフラワーのクレームは、白く仕上げたいので、焦がさないように気をつけてください。ごくごく弱火で蒸し煮にしますが、ときどき蓋をとって混ぜながらじっくり火を入れてください。最初に塩を入れておくことで野菜が持つ水分を引き出すことができるので、お忘れなく」
ホタテに塩を振って水分を引き出すことがポイント。「表面の水分を抜いておくと、加熱したときに余計な水分が出てこないのでおいしく仕上がります」
ブリオッシュにはたっぷり澄ましバターを含ませる。「澄ましバターは不純物が一切ないので、焦げにくく、風味が増します」